国が認めた借金救済制度のデメリット。債務整理のリスクについて解説

債務整理 2023.06.14

国が認めた借金救済制度、「債務整理」は、法律に則って借金減額ができたり、または借金をゼロにして、借金問題を根本的に解決できる制度です。

債務整理には、借金の返済負担を軽減できるという大きなメリットがある反面、ブラックリストに載るなどのデメリットもあります。

債務整理のデメリットやリスクには具体的にどのようなものがあるのか、知っておきましょう。

「国が認めた借金救済制度=債務整理」の特徴やメリット・デメリット

債務整理は、借金に困っている人を助けるための「借金救済制度」で、法的に認められた方法で借金減額したり、借金をなしにすることができる手続きです。

債務整理は、下記に相談可能です。

  • 日本弁護士連合会・弁護士事務所
  • 日本司法書士会連合会・司法書士事務所
  • 日本貸金業協会
  • 財団法人日本クレジットカウンセリング協会
  • 全国銀行協会
  • 法テラス(日本司法支援センター)

債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の主に3種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあります。

「債務整理しなければよかった!」とならないためにも、借金救済制度のデメリットを確認してから、自分が取る手続きを決めることをおすすめします。

任意整理…将来利息をカットでき、手続きも簡単

任意整理は、裁判所を介さずに債権者と直接交渉することによって将来利息のカットや返済期間の猶予をお願いする手続きです。

任意整理のメリット
将来利息をカットできる、返済期間を3~5年に延ばせる、債権者を選べる、手続きが簡単で時間がかからない、債務整理の中では最もデメリットが少ない
任意整理のデメリット
ブラックリストに載る、債権者が交渉に応じてくれないことがある、元金はカットできないので減額率は低い

任意整理は、手続き後も借金返済の義務が残るため、安定した収入があることが条件となります。手続き後に借金滞納をしてしまうと、借金返済できないときと同様に裁判、財産の差し押さえの危険もあります。

個人再生…借金を大幅に減額し、マイホームも残せる

個人再生は、裁判所を介して借金の返済がきついことを認めてもらい、借金を圧縮する手続きです。元金も含めて約5分の1~10分の1に減額することができ、マイホームも残せます。

個人再生のメリット
減額率が高い、住宅ローン特則の適用でマイホームを残せる、借金の理由は何でもよい
個人再生のデメリット
ブラックリストに載る、費用が高額、手続きが複雑で時間がかかる、保証人に返済の義務が生じる、官報に載る

任意整理と同様、借金返済の義務は引き続き残るため、安定した収入がないとできません。また書類や手続が煩雑で難しい、専門家へ支払う費用が高めなども特徴です。

借金減額幅が大きい分、任意整理よりもデメリットが増える印象です。

自己破産…借金をゼロにし、返済義務をなくす

自己破産は、裁判所を介して借金の返済が不可能なことを認めてもらい、借金をなくす手続きです。多額の借金を抱え、借金地獄や借金まみれの状態に陥っている場合でも、返済義務がなくなり解放されます。

自己破産のメリット
借金を0にできる
自己破産のデメリット
ブラックリストに載る、管財事件になると一定の財産を処分される、手続き中に就けなくなる職業がある、保証人に返済の義務が生じる、官報に載る

借金が0になるという、債務整理の手続の中では借金減額幅が一番大きい手続きです。その分、デメリットも大きいです。借金返済ができない状況であるという条件があったり、借金が必ずしも0にならない可能性があることも頭に入れておく必要があります。(ギャンブルや浪費といった免責不許可事由がある)

債務整理をすると基本はブラックリストに載ってしまう…

債務整理のデメリットは、ブラックリストに載ってしまうということです。

ブラックリストに載るとは、個人信用情報機関に事故情報が登録されること。任意整理では約5年、個人再生と自己破産では約10年登録されます。ブラックリストに載ると次のようなことが起こります。

  • クレジットカードが利用できない、新たな作成もできない
  • 新たな借り入れができない(カードローンやキャッシング)
  • ローンが組めない(住宅ローンや教育ローンなどすべて)
  • 携帯電話やスマホの機種代を分割払いできない
  • 借金の保証人になれない
  • 賃貸借契約ができないことがある

生活に影響が出やすいのは、クレジットカードの利用ができなくなることでしょう。

使えるカードは、家族カードやプリペイドカード、デビットカードなどに限られます。

新たな借入をしようとしても、カードローンやキャッシングの審査では必ず信用情報をチェックされるため、事故情報が登録されている間はことごとく審査に落ちてしまいます。

クレジットカードや借入ができない生活は不便ではありますが、現金での生活をすることによって、お金の使い方を見直すよい機会になるでしょう。

信用情報は携帯電話やスマホの分割払いの審査でもチェックされます。機種を変更する場合は、一括払いにするか格安SIMを購入することになります。

また、奨学金やカーローン、事業者ローンなど、保証人が必要な借金の保証人になることもできません。保証人付きの借金では、借入する本人に加えて保証人の信用情報もチェックされるからです。

賃貸借契約においては、入居審査で信用情報をチェックされることがあるので、審査に通りやすい物件を探すことをおすすめします。

過払い金請求で完済できた場合はブラックリストに載らない

債務整理をしてもブラックリストに載らないケースもあります。それは、過払い金請求によって残債務を完済できた場合、または完済後の借金を過払い金請求した場合です。

過払い金請求とは、過去に支払い過ぎた利息を取り戻す手続きです。2007年以前に高金利で借入していた方や完済から10年経っていない方などは、過払い金が発生している可能性があります。

返済途中の借金を過払い金請求し、取り戻したお金で完済できなかった場合は「任意整理」を行ったものと見なされ、ブラックリストに載ります。

まずは借金減額シミュレーターを利用してみよう

弁護士事務所や司法書士事務所が運営している「借金減額シミュレーター」をご存知でしょうか?SNSの広告などで見かけて怪しいと感じている方もいるかと思いますが、怪しいことはなく、使ってみて損はありません。

借金減額シミュレーター(借金減額診断)は、借金を減額できるかどうかを診断できるツールです。いくら減額できるか、債務整理でおすすめの手続きはどれかなどもわかります。利用は匿名かつ無料、借金に関する簡単な情報を入力するだけです。

借金100万円はやばいとよく言われますが、いくらからやばいのかは人によって違います。100万円以内の借金でも返済が苦しいと感じていたり、返済しているのに残高が減らなかったりするのはやばい状況だといえるでしょう。

債務整理には、いくら借金があるからこの手続きができるというような利用条件はありません。

どの手続きが向いているかは借金の状況や収入などを見て総合的に判断する必要があるので、弁護士や司法書士など専門家の意見を聞いた上で決めましょう。

直接相談に行くのは勇気がいるという人も、借金減額シミュレーターを利用することで相談へのハードルが下がるはずです。

債務整理はデメリットやリスクをきちんと知った上で手続きしよう

債務整理のデメリットやリスクについて紹介しました。大きなデメリットはブラックリストに載ることですが、債務整理をせずに借金を滞納してもブラックリストには載ります。

ブラックリストに載りたくないからと債務整理せずにいると、今以上にお金がない厳しい状況が訪れる可能性もあります。国が認めた借金救済制度は合法的に借金を解決する手段なので、怪しいものではありません。

デメリットについて事前に知っておくことで、対策をたてることもできるでしょう。デメリット以上にメリットが得られる可能性が高いので、借金返済が苦しい人は積極的に債務整理を検討してみてください。

債務整理にかかる費用が心配という方は、法テラスを通じて無料相談や費用の立て替えを利用できる可能性もあるので、その点も専門家に相談してみるとよいでしょう。
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