転職するなら何歳まで?年齢で転職を諦める前に知っておきたいこと

転職 2023.06.14

終身雇用制度が崩壊し、さまざまな働き方が認められるようになった近年では、年齢を問わず転職する人が増えています。

しかし、「転職するなら何歳まで?」「30代に入ってから転職活動するのは遅い?」「転職35歳限界説って本当?」など、年齢が気になって転職を迷っている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、転職における年齢について考えてみました。転職しやすい年齢や「限界年齢」と言われる転職のリミットについて、さらに30代・40代の方向けに転職で成功するためのポイントなども解説します。

ご自身の年齢が不安で転職活動に踏み出せないでいるなら、ぜひ読んでみてください。

転職しやすい年齢とは?30代からの転職が厳しいのは本当なのか

転職が珍しいことではなくなった現在では、20代の若者だけでなく、30代や40代のミドル層でも転職する人が増えています。そうは言っても、一般的に「転職は年齢を重ねるほど困難になる」と言われているのも事実です。

まずは、転職活動をいつ始めたらいいか迷っている方に向けて、30代からの転職活動における年齢について解説します。

転職しやすい年齢は20代の若年層

一般的に転職しやすい年齢は、20代の若年層でと言われています。年齢とともに経験やキャリアを積み重ねてきたミドル層よりも若手のほうが転職しやすいのはなぜでしょうか。

その理由は、以下のようなポテンシャルの高さにあります。

  • 若さゆえの適応力と吸収力で、仕事の覚えが早く新しい環境にもなじみやすい
  • 心身ともに若くエネルギーに満ち溢れている
  • 体力がありフットワークが軽い

また、若手社員を採用には、育成した人材を長く雇用することができるという企業側のメリットもあります。

このように、企業にとって若手の「可能性」「成長性」は魅力ですが、では「若ければ若いほど良いか」と言ったらそうとも言い切れません。

というのも、20代の転職市場では「第二新卒」の採用に積極的な企業が増えています。

第二新卒とは、新卒で正社員入社をして、1~3年勤務をした後に転職活動をする人のことです。通常、新卒入社の社員に対しては新人教育をしなければなりませんが、第二新卒の場合、最初に入社した会社で社会人としての基本的なマナーやスキルを身に着けてきているので、転職先の企業としては新人教育の手間やコストを省くことができます。

少ない年数であっても社会人経験があることが有利になる第二新卒のように、若さよりも「経験やスキルが転職において有利になる」というケースはたしかにあるのです。

35歳は転職の限界ではない

転職は年齢を重ねるほどに厳しさを増していきます。20代向けの求人は豊富ですが、30代に入るとその数は徐々に減り、35歳以上になると応募可能な求人数は一気に減ってしまう…というのも残念ながらよくある話です。

「35歳転職限界説」「35歳の壁」という言葉が広がったのは、このような30代の転職市場の厳しさゆえと言えるでしょう。

たしかに、35歳を境に転職が困難になるケースはありますが、絶対に転職できないということはありません。

実際に、転職サイト「duda」の調査によると、2021年の転職成功者のうち27.1%が35歳以上という結果が出ています。

【年代別の割合】

年代 割合
24歳以下 9.2%
25~29歳 40.5%
30~34歳 23.3%
35~39歳 12.5%
40歳以上 14.6%

(出典:転職サービスdoda「コロナでどう変わった?転職成功者の平均年齢調査【最新版】」)

また、35歳は社会に出て10年以上が経過していて、ある程度の経験もキャリアも積んできている年齢です。業界経験や保有スキルなどによっては、この年齢を上回っていても転職は十分に可能でしょう。

高齢化・少子化による労働人口の減少の影響もあり、ミドル層で転職に成功してキャリアアップやキャリアチェンジを実現させている人も増えています。

35歳という年齢を限界と決めつけて最初から転職を諦めるのではなく、まずは仕事や働き方を考えるひとつのきっかけとして考えてみてはいかがでしょうか。

未経験の業種への転職は年齢を重ねるほど不利になる

「一度は諦めた業界にやっぱりチャレンジしたい」「転職をきっかけに未経験の業界に飛び込んでみたい」など、転職をきっかけにキャリアチェンジを目指す人も多いです。

しかし、「未経験者」「資格なし」で転職するとなると、年齢によってその難易度は大きく変わってきます。

というのも、同じ業界未経験者であっても20代と30代・40代とでは、ポテンシャルにおいて若手のほうが有利です。人材を採用する企業としては、少しでも長く就業し会社に貢献してくれる若手社員を求める傾向にあるからです。

もちろん、「業界経験はないが独学で学んだ知識やスキルでカバーできる」と企業が判断した場合など、なかには業界未経験から内定を勝ち取った成功例もあるでしょう。

しかし、未経験や異業種への転職は、年齢を重ねるほどより不利になるというのは事実です。未経験からの転職を希望するなら、できるだけ早く、可能なら20代のうちに決断し行動に移すことをおすすめします。

女性は男性よりも転職しづらいのか

働く女性が増えている一方で、出産や育児などライフステージの変化から、離職という選択をする女性がまだまだ多いのが現状です。

産休や育休などの制度がないために、退職をせざるを得ないという人もいるでしょう。「産休や育休を取得したのに、休暇明けに復帰せずにそのまま会社を辞めてしまうのでは?」という懸念があるために、積極的に女性の採用ができないでいるという企業側の課題もあります。

また、女性は男性よりも入職率・離職率ともに高い傾向にあることが、厚生労働省の調査結果からも明らかです。

特に、結婚や出産などを経験する女性が多い20代後半から30代にかけては、離職率が入職率を上回っているのが目立ちますね。

【男性】

20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳
入職率 33.1% 15.8% 12.4% 8.2%
離職率 29.1% 16.4% 11.1% 9.4%

【女性】

20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳
入職率 36.3% 17.3% 13.9% 14.2%
離職率 28.4% 19.4% 17.0% 14.3%

(出典:厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要」)

しかし、上記のようなデータがある一方で、売り手市場の現在、転職に成功している女性が大勢いるのも事実です。

総務省による「2021年労働力調査」では、女性の転職者数は156万人と、男性よりも23万人ほど多いという結果も出ています。

男性に比べると転職が困難なケースがあるかもしれませんが、政府が女性の社会進出を促進していることや女性の働きやすさを重視する企業が増えていることからも、アプローチの仕方によっては女性でも転職することは十分に可能でしょう。

女性の転職支援に強い転職エージェントもあるので、プロのサポートを受けながら転職を検討してみても良いかもしれません。

転職では年齢よりもスキルが重要!中途採用で企業が求める能力とは?

転職するうえで大切なのは、年齢よりもスキルです。

「〇〇歳転職限界説」などにとらわれて転職を諦めるよりも、まずは自分の強みを見直し、そこから転職に役立つスキルを磨いていくことを重視して行動していきましょう。

企業が採用をする際に重視するのが、以下2つのスキルです。

  • ポータブルスキル…業種や職種に関わらず通用する能力
  • テクニカルスキル…特定の分野で求められる専門的な知識や技術

ポータブルスキルとは、「仕事に向かう姿勢」「考え抜く力」「人との関わり方」など、汎用的でどんな仕事・職場でも求められるスキルです。誰でもアピールすることが可能で、自分自身との特性や強みとも関係してきます。

一方で、テクニカルスキルは特定の職務で活かせる能力です。営業職なら「コミュニケーション力」「交渉力」「ヒアリング力」、経理なら「正確性」「分析力」「調整力」などがこれに当たります。

また、管理職に求められる「部下を動機づけする力」「部下を指導・育成する力」「マネジメント力」などもテクニカルスキルです。

転職活動では、20代であればポータブルスキルが重視されますが、30代・40代の中途採用では即戦力を求められるため、ポータブルスキルに加えて、テクニカルスキルも評価の対象になります。

特に、30代からの転職では、テクニカルスキルを有していることが転職を有利に進めるポイントになってくると言えるでしょう。

30代の転職で求められることと成功させるためのポイント

ここからは、30代・40代と年齢別に転職を成功させるためのコツを紹介します。企業が求めることやアピールポイントもお伝えするので、ご自身の年齢に合わせて考えてみてください。

まずは、30代の方向けの転職ポイントから見ていきましょう。

30代の転職で求められること

社会に出て10年近くの年月を過ごしている30代、特に30代後半の転職では、培ってきた経験やスキルが重視されます。

というのも、30代は20代に比べてビジネスの経験も十分に積んでいるため、企業は「即戦力」としての活躍を期待して採用を行っているのです。

そのため、30代の転職では次のようなことが求められます。

  • 同業界での実務経験やスキル
  • 新人育成の経験
  • コミュニケーション力
  • リーダーシップ

企業は入社後、すぐに能力を発揮して会社に貢献してくれる人材を求めているので、同業界での実務経験やスキルがあると有利です。また、30代は上司と部下をつなぐ役割を担う機会も多いので、高いコミュニケーションスキルがあると良いでしょう。

さらに、30代になるとチームをまとめる、人材育成をするという機会も増えます。「前職でチームリーダーをしていた」「新人スタッフの指導や育成を担当していた」といった経験があると、将来的な管理職の候補者として期待されての採用という可能性もあります。

30代での転職では、これまで培ってきた経験や身に付けてきたスキルと合わせて、企業に対して「何ができるか」「どのように貢献できるか」をアピールすると良いでしょう。

30代で転職を成功させるポイント

30代で転職活動をするなら、以下のポイントを押さえながら進めていくことをおすすめします。

  • 業種にこだわりすぎない
  • ライフステージの変化を考慮して企業を選ぶ
  • 自分の強みと企業のニーズをすり合わせる

30代の転職では実務経験があると有利になると説明しましたが、「同じ業種でないと…」とこだわりすぎると、転職先の選択肢が極端に減ってしまうかもしれません。

異業種だとしても職種が同じなら培ってきた経験やスキルが活かせる可能性があるので、幅を持たせて業種選びをすると良いでしょう。

また、30代はライフステージの変化も生じやすい年代です。結婚による転居や配偶者の転勤、仕事と育児の両立などさまざまな理由から働き方を見直す必要性が出てくることもあります。

プライベート面も考慮し転職先に求める条件を明確にしておくと、企業選びでの失敗が防げるでしょう。

さらに、企業に応募する際には「自分自身の強み」と「企業のニーズ」がマッチしていることを確認したうえで選考に臨むようにしてください。

ビジネスの経験が豊富な30代だからこそ、企業が求める人材像にマッチした強みやエピソードにフォーカスしてアピールすることが大切です。

40代の転職で求められることと成功させるためのポイント

続いて、40代の転職で企業が求めていることと転職のポイントを解説します。

40代の転職で求められること

30代と同様に、40代の中途採用でもやはり求められるのは「即戦力」です。

入社後、すぐに企業に貢献できる実務経験や専門性に加えて、以下のようにチームやプロジェクトの先頭に立つためのスキルや特性が重視されます。

  • マネジメントスキル
  • 部下を育成できる指導力や統率力
  • 企画力や提案力
  • 高い人間性

40代は職場のまとめ役としてだけでなく、新規プロジェクトの立ち上げなど先頭に立って事業を展開していく立場になることも多いため、統率力、マネジメントスキル、指導力などが求められます。

40代以上を対象にした求人には管理職向けの求人も少なくないので、管理職やマネージャーなどの経験があると有利でしょう。

また、企業が目標を達成するために欠かせないのが、アイディアを案としてまとめる「企画力」と企画内容をわかりやすく伝えて説得する「提案力」です。

どちらもビジネスパーソンとしての経験がなければ身につかないスキルなので、企画や提案をして成果を出したというエピソードがあると、企業へのアピールポイントになるでしょう。

このように、さまざまなスキルが求められる40代ですが、忘れてはならないのが人間性も重視されるということです。若手社員をまとめ指導する以上、コミュニケーションスキルや協調性もなくてはいけません。

40代の転職では経験やスキルを強調するだけでなく、清潔感のある身だしなみや好印象につながる話し方も大切な評価ポイントです。初歩的なことだとスルーせずに、面接対策のひとつとして改めて確認しておきましょう。

40代で転職を成功させるポイント

転職は年齢が上がるほど厳しくなるので、40代の転職では計画性を持って臨むことが重要になってきます。

以下のポイントを押さえて転職活動を進めましょう。

  • なるべく多くの情報源を持つ
  • ときには人脈を利用する
  • キャリアを棚卸しする
  • 妥協が必要になるケースもある

転職のラストチャンスになる可能性が高い40代。貴重な転職のチャンスをものにするためには、なんといっても入念な情報収集が欠かせません。

企業のホームページや採用ページ、求人情報サイトはもちろん、元社員の口コミサイトなども確認して企業選びは慎重に行いましょう。

また、40代向けの求人は決して多くないので、なるべく多くの求人をチェックできるよう、複数の人材紹介会社や転職エージェントを利用しましょう。社内外の人脈を活かして転職先を探るというのもおすすめです。

積極的に行動しながら、同時にキャリアの棚卸しも忘れずに行ってください。

40代はキャリアを重ねていて職務経験も豊富ですが、情報量が多いだけに企業側に強みが伝わりにくくなる恐れがあります。キャリアを棚卸しして、自分の強みを客観的にとらえたうえで、企業側のニーズに合わせてアピールしましょう。

ただし、40代からの転職活動は厳しいので、「募集要項に年齢制限があって応募できない」など応募求人が限られることもあります。状況によっては、「転職先に求める条件を緩める」「優先順位をつける」など、妥協が必要になる可能性があるということは理解しておきましょう。

転職活動を効率良く進めたいなら転職エージェントの登録がおすすめ

転職活動をするなら、転職エージェントを活用して進めていくのがおすすめです。

転職エージェントを活用すると、転職支援のプロによる幅広いサポートが受けられるほか、企業との連絡や面接の設定など、さまざまな調整を代行してもらえます。働きながら転職先を見つけたい人でも効率良く転職活動が進められるでしょう。

特徴や強みはサービスによって異なるので、自分に合った転職エージェントを見つけてみてください。

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年齢で転職を諦める前に自分自身のキャリアやスキルを見直そう!

以前に比べて転職が珍しいことではなくなった現在では、「年齢」よりも「スキル」を重視する企業が増えています。年齢を重ねても仕事を続ける人も増えているので、年齢を理由に理想の働き方を諦めるのはもったいないとも言えるでしょう。

「今の会社で身に付けたスキルを活かせる職種を知りたい」「培ってきた経験をどう活かしたらいいかわからない」という人は、転職エージェントを利用して相談するのがおすすめです。

自分では自信が持てないキャリアでも、転職支援のプロの手助けを得ることで強みが見つかるかもしれません。

年齢を理由に転職を諦める前に、まずはできることから行動してみましょう。

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